痛みの意味
先天性無痛無汗症とは
先天性無痛無汗症という病気があります。この疾患は、先天的に遺伝子の異常があり、温度を感じたり痛みを感じたりすることが出来ず、汗をかくことも出来ません。私たちが当たり前のように感じている感覚を、生まれて経験したことがない人がいるのです。私たちにとって、痛みは非常に不快な感覚でしかありません。痛みが生じて嬉しい人はいないと思います。痛みは不快や不安を生じさせ、情動に変化をもたらします。痛みの感覚や意味、認知は、人によって違い、非常に主観的なものなのです。
痛みの意味
では、痛みはなぜ生じるのでしょうか。痛みの大きな役割は、身体に生じた異常を早期に認知することであり、生命を保護するために非常に大きな役割を果たしています。身体に生じた異常な変化をいち早く察知し、私たちの身体を守ってくれます。先天性無痛無汗症の方は、自律神経のコントロールが出来ず、汗をかけないために体温の調整が出来なかったり、痛みがわからないために身体に出来た傷を感じることがないので、例えば傷に気が付いた時にはすでに感染して壊死が生じていたりするなど、症状が悪化していることが多いのです。脱臼や骨折などの外傷、骨壊死や関節破壊などが多発したり、脳症を引き起こすことがあります。生命予後についは不明ですが、50歳を超える方は、極めて少ないと言われています。(難病情報センターホームページよりhttps://www.nanbyou.or.jp/entry/4361 )。
痛みを我慢するという美徳
日本には、痛みを我慢することが美徳という捉え方があります。骨折後や変形性関節症、五十肩などで関節の可動範囲が狭まっていると、「痛みを我慢して動かさなければ、余計に固まってしまう」といわれ、一生懸命に痛みを我慢しながらリハビリをした経験をお持ちの方もたくさんいらっしゃると思います。しかし、これまで述べたように、痛みが生じているのには意味があります。感染や心疾患、呼吸器疾患や癌、脳血管疾患など重篤な疾患が隠れていることもあります。無理に関節を動かすことは、かえって関節の損傷を招き、症状の緩解を遅延させ、悪化させることさえあります。「毎日一生懸命に痛みを我慢してリハビリをしていたが、所用があってリハビリを休んだら、かえって痛みが軽くなって可動域が改善した」という経験をお持ちの方もいらっしゃると思います。関節可動域制限を改善をするのにも、痛みの意味を考えながらリハビリをすることが重要なのです。
痛みは身体からのサイン
痛みは、身体からの信号(サイン)です。痛みは、皮膚や関節などの外傷など身体の問題だけでなく、心のバランスが崩れることによっても生じます。春は自律神経のバランスが崩れやすい時期ですが、新型コロナウイルスの影響で心身ともにバランスが崩れている方が多いと思います。私自身も、心と体のバランスをコントロールすべく、頑張っています。今起きている難局を今後にどう生かしていくことかが重要なのではないかと思います。戦争を経験していない私にとって、家族と一緒に元気でいられることが、これほど幸せだと気付かされることは、これまでになかったかもしれません。健康は、心と体のバランスが非常に重要です。皆様の健康にお役に立てるよう、これからも頑張って行きたいと思います。
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