成功体験と失敗体験

 スポーツ選手の指導に限らず、指導者に求められる視点の一つに、成功体験と失敗体験の意味を、その人に理解してもらうことがあると思います。多くの失敗体験は、失敗することに意味があり、そこから何かを学ぶことが必要です。落ち込んでいる暇なんてありません。私がとても尊敬している先生が、学生に言っている言葉が「反省は深く短く30秒」というものがあります。この言葉は非常に深い言葉で、なおかつ落ち込んでいる人を励ましてくれる言葉だと思います。

 もちろん、失敗を推奨しているわけではありません。成功するためにリスク管理をしっかりしていくことが重要であることは、今更言うことではないくらい当然のことです。相手を傷つけたり、極端な話、結果として相手の命に関わるような重篤な問題に発展しないような配慮は必要です。しかし、そうしたことを理解し実行しながら、しっかりとした準備をし、何度も何度も思考(試行)を繰り返しながら進むことに意味があります。場合によっては、周りの人が理解できないようなことでもやり遂げることが必要なこともあります。

 私が学生によく言っていた言葉の一つに、「不安は成長の糧である」ということがあります。不安は、放っておいて何もしなければ大きくなりますが、不安を解決するために努力することの積み重ねを続けていると、それによって成長することも出来ます。その過程の中で重要なことが「成功体験」であるのです。学生は成功体験が非常に少ないため、今自分が考えている方向性が間違っていないかどうか、非常に不安に感じるものです。場合によっては指導者の言葉に懐疑的になったりすることもあると思います。私が重要視していたことの一つが、「成功体験」をさせることでした。私のことで言えば、患者様の変化を学生に「体験」させることでした。「こんなに変わるものなのか!」「先ほど聞いた理論は、こういうことだったんだ!」など、大学や学校で学んだことは、臨床ではこういう意味を持つのだとか、学校で習う理論だけでは臨床では通用しないことなどを、臨床を通して伝えていました。そのことこそ重要だと考えていたからです。

 前出の大学の先生がもうひとつ言われていたことが、「部活と同じだ理論」でした。例えば、バスケットボールのシュートの精度を上げるには、練習を繰り返し成功体験をしなければ上達はしません。それと同じように、失敗の経験から学ぶことが重要だということを、簡単にわかりやすく表現したものが「部活と同じだ理論」です。とてもユニークな表現ですが、私も常に頭に入れて前に進んでいきたいと思っています。

フィジカルケア宮崎のブログの更新情報をお知らせします。

前の記事

変化請負人

次の記事

動きを見るということ