先達から学ぶ

 日本の理学療法やリハビリテーションは「後進国」だという見方もあります。1965年に「理学療法士作業療法士法」が制定されて以来、徐々にその数は増えていきましたが、特に2000年以降の理学療法士の増加はめざましく、1年間に1万人近くの理学療法士が誕生しています。オーストラリア全体の理学療法士の数が約1万人といわれるので、いかに日本の理学療法士の数が飛躍的に増加しているかがうかがえます。数は増えても、理学療法士の質の向上が図れていない、という見方が、日本は理学療法の後進国だという見方になっているのでしょう。

 実際には、日本の理学療法士でトップの実力を持っていらっしゃる方は、私は世界のトップレベルではないかと思っています。患者を治すという実力は、他の理学療法先進国と比較しても、まったく遜色ないのではないかと思いますし、数多くの海外の理学療法を知っている先生も、そのように言われている先生もいます。ただ、全体として理学療法士の質が落ちてきているということも事実ではないかと思います。つまり、トップの実力を持っている先生と、まったく逆の方が増えていて、実力の2極化が進んでいるように感じます。

 ある新進気鋭の先生が、日本のトップの実力をお持ちの先生方を、「あの先生がああいう行動をしていたから、今の日本の理学療法のレベルは低いのだ」と言っている方もいるようです。私はそのことを否定しませんし、そうした意見があっても当然なのだと思います。同時に思うことは、そういう批判的なことを言っている方が、もしその時代に生きていたら、どのような行動を取っていただろうかとも思うのです。人の考えや生き方は、時代背景を反映します。もちろん、その人の人格や行動もそうです。そのように考えると、私には自分たちを牽引してくださった先生方を否定する考え方は浮かびません。そのことを批判しても、発展はないと思うのです。

 私たちの今の時代は、先達の足跡の上に成り立っています。私自身も「そんな考え方ではダメですよね」と否定されたことがありますが、否定することよりも大事なことは、人の考えや行動を肯定することではないでしょうか。もちろん、人徳に反するような殺人など許されざる行為は肯定すべきではありませんが、一時代を築こうと努力してきた先達には、感謝の気持ちを持たなければいけないのではないかと思うのです。そこから学ぶことに、たくさんの意味があるようにも思います。私は、私を育ててくれた先輩たちの好意と行動に感謝して、それを少しでも後輩たちに繋げていけるように、頑張っていきたいと思っています。

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