ラポール

 ラポールという言葉は、セラピストとクライエントの間の心的状態を表す言葉で、相互に信頼し合い、安心して自由に振る舞ったり、感情の交流を行える関係が成立している状態を指すのだそうです。私たちセラピストの基本は、この「ラポール形成」にあると言われます。単純に表現すれば、お互いの信頼関係ということなのでしょう。私たちセラピストは、クライエントから情報を収集しなければいけませんが、その根底にはこのラポール形成がなければ、決して成り立ちません。

 私が20代前半で若かった頃、1日に多いときで入院患者だけで50名、外来も含めると70名くらい担当していたことがありました。そのときは本当に忙しくて、病院を1日中走り回っていた記憶があります。ある日、看護師に病棟の患者を車いすでリハ室に連れて行ってもらうようお願いし、その間に病棟で別の患者の、術後の理学療法をしていたときがありました。病棟での理学療法に思った以上に時間がかかり、患者をリハ室で待たせてしまうことになり、私は病棟患者の術後理学療法が終わったらすぐに、走って(本当は歩いて行かなければいけなかったのでしょうが、、、)リハ室に帰りました。その日が初めてお会いする患者だったのです。私は申し訳ない気持ちもあり、その人に元気の良い声で「○○さん、こんにちは!お待たせして申し訳ありません!」と言いながら笑顔で話しかけました。そのときに、その方は驚いたような表情で私を見て、その後にっこり笑って「私にはこの病院に知り合いはいないはずなのに、こんなに元気な声をかけてくる人は誰かと思って、驚いたわ」と私に話しかけてくれました。何気ないやり取りですが、私はこのとき、人と人との関係でとても大切なことを学んだように思います。

 コミュニケーションは技術だという考え方もあります。私もその意見には賛成なのですが、根底にあるのは、相手に対する愛情であり、「人として」ではないかと思うのです。この関係がなければ、どんな人との関係も、うまく成り立たないと思います。自戒の念を込めて言うなら、どんなときでも自分をしっかり持って、人に温かい愛情を与えられるような自分でいられるようにしなければいけないと思います。たくさんの人と出会い、たくさんのことを学び、「人として」成長し続ける自分でありたいと思います。

フィジカルケア宮崎のブログの更新情報をお知らせします。

前の記事

特別な場所

次の記事

終戦の日